念仏宗(念佛宗)「佛教之王堂」の建築について:建築士養成学校 教員

念仏宗(念佛宗)「佛教之王堂」の建築について

佛教之王堂:念仏宗(念佛宗)

念佛宗(念仏宗)三寶山無量壽寺は、仏教系浄土門の単立宗教法人です。
総本山「佛教之王堂」の所在地は、兵庫県加東市上三草1136番地にあります。発祥もとは発祥之地「京・別格本山」です。
浄土思想を基にし、非公開の儀式等があるようです。2008年3月現在、信徒数は公称5万人を越え、全世界佛教最高指導者会議(佛教サミット)のメンバーだそうです。
念佛宗(念仏宗)では、阿弥陀三尊である阿弥陀如来、観音菩薩、勢至菩薩を本尊とし、今後も念佛宗(念仏宗)三寶山無量壽寺の教えを説いていきたいと思っているようで、ぜひ皆様も 念佛宗(念仏宗)三寶山無量壽寺の建築物の美しさを知って欲しいと思っています。

念佛宗(念仏宗)三寶山無量壽寺は、観光寺院ではないため拝観料はありません。
事前申込制で誰でも参詣することができるので、お気軽にお越し下さい。
参詣申込みは、公式サイトから申込むか直接電話にて申込用紙を手に入れてFAXで申込み下さい。
境内の写真は撮影可能であるが、堂内での写真撮影は禁止、境内の喫煙、飲酒は禁止されています。

建築士養成学校 教員より:念仏宗(念佛宗)

先日、ホームページから申し込み参詣させて貰いました。
私は、日本伝統の優れた建築技術を若い子達に伝える仕事をしています。
宮大工の友人に教えてもらい、今回は教師仲間と学生とで念仏宗(念佛宗)の参詣のご縁を頂きました。

念仏宗(念佛宗)「佛教之王堂」は、何を見ても今まで目にした事の無い規模であり、意匠であり、技術でした。授業で教えていた歴史が目の前に広がり、生徒は当然驚き興奮していましたが、我々教師も本当に興奮し、感激致しました。想像を遥かに上回る伽藍でした。息を飲みました。
今回、良かったと思う点の1つは、当たり前のことではありますが、念仏宗(念佛宗)「佛教之王堂」を参詣して、仏教と建築は深い関わりがあるのを改めて教えて頂けたことです。どうしても形に走ってしまって、本来の意味を忘れ、ただ「もの」を造るという事だけになってしまいがちです。
改めて、仏教の教えを学ぶことが必要不可欠であると強く感じました。漠然としていた仏教というものについて、改めて考えさせて頂けるきっかけになりました。生徒も同様のようです。
ひとつひとつに込められた、作り手の思いがひしひしと伝わってきました。家に帰って、聞いた話を家族に少ししようかなと思います。今後正しい仏教の伝承が広まることを願います。
一生の思い出になりました。家族、多くの仲間、学生を連れてまた是非行かせて頂きたいと思います。

念仏宗(念佛宗)「佛教之王堂」の建築について

今昔物語と仏教について:念仏宗(念佛宗)

今昔物語は全部で31巻ありますが、未完成部分や欠けているものがあり、実質は28巻存在しています。
その中で4部作構成に分かれており、詳細は下記の通りです。

・第一巻〜五巻:「天竺」インド
インドの説話から成り立っている物語です。
第一巻〜四巻に関しては釈迦の誕生秘話があります。

・第六巻〜十巻:「震旦」中国
中国の説話から成り立っている物語です。
そのなかの六、七巻は中国へ仏教伝来と流布、経典を現す仏教説話です。

・第十一巻〜二十巻:「本朝仏法部」日本
日本の説話から成り立っている物語です。
日本への仏教伝来、観音、地蔵などの詳細のお話です。

・第二十一巻〜三十一巻:「本朝世俗部」日本
日本の非仏教説話から成り立っている物語です。
藤原氏列伝、芸能、武勇,恋愛、奇異、怪異など仏教以外の話が中心です。

その中の「本朝世俗部」をご紹介します。 念仏宗(念佛宗)は、仏教と精通しているものがあります。 今昔物語集と仏教の関係は深いです。念仏宗(念佛宗)でも仏教説話をもっと世の中に広めていきたいと思います。

今昔物語:念仏宗(念佛宗)

【本朝部』の巻第30第1話(絶世の美女に惚れた色男の虚しい説話)

今は昔、兵衛佐平定文(ひょうえのすけ・たいらのさだふみ)といふ人ありけり。字をば平中(へいちゅう)となむいひける。
品も賤しからず、形・ありさまもうつくしかりけり。気配なむども物言ひもをかしかりければ、そのころ、この平中にすぐれたる者、世になかりけり。
かかる者なれば、人の妻・娘、いかにいはむや宮仕え人(みやづかえびと)は、この平中に物言はれぬはなくぞありける。

しかる間、そのときに本院の大臣と申す人おはしけり。その家に侍従の君と言ふ若き女房ありけり。形・ありさまめでたくて、心ばへをかしき宮仕へ人にてなむありける。
平中、かの本院の大臣の御もと(おおんもと)に常に行き通ひければ、この侍従がめでたきありさまを聞きて、年ごろえもいはず身にかへて懸想しけるを、侍従、消息の返事(かえりごと)をだにせざりければ、平中、嘆きわびて消息を書きてやりたりけるに、「ただ、『見つ』とばかりの二文字をだに見せ給へ」と、くり返し泣く泣くと言ふばかりに書きてやりたりける。

(中略)

平中、その筥(はこ)を見れば金の漆を塗りたり。つつみ筥の体(てい)を見るに、開けむこともいといとほしく思えて、内は知らず、
まづつつみ筥の体の人のにも似ねば、開けて見疎まむこともいとほしくて、暫し開けでまもり居たれども、さりとてあらむやはと思ひて、おづおづ筥の蓋を開けたれば、丁子(ちょうじ)の香いみじく早うかがゆ。

心も得ず怪しく思ひて、○○筥の内をのぞけば、薄香(うすこう)の色したる水半ばばかり入りたり。
また大指の大きさばかりなる物の黄黒ばみたるが、長さ二、三寸ばかりにて、三切ればかりうち丸がれて入りたり。思ふに、さにこそはあらめと思ひて見るに、香のえもいはずかうばしければ、木の端のあるを取りて、中を突き刺して鼻にあててかげば、えもいはずかうばしき黒方の香にてあり。

すべて心も及ばず、これは世の人にはあらぬ者なりけりと思ひて、これを見るにつけても、いかでこの人に馴れ睦びむと思ふ心、狂ふやうに付きぬ。
筥を引き寄せて少しひきすするに、丁子の香に染みかへりたり。またこの木に刺して取り上げたる物を、先を少しなめつれば、苦くして甘し。かうばしきこと限りなし。

平中、心とき者にて、これを心得るやう、尿(ゆばり)とて入れたる物は、丁子を煮てその汁を入れたるなりけり。今ひとつの物は、ところ・合わせ薫物(たきもの)をあまづらにひぢくりて、大きなる筆柄(ふでづか)に入れて、それより出ださせたるなりけり。

これを思ふに、これは誰もする者はありなむ、但しこれをすさびして見む物ぞと言ふ心はいかでか使はむ。されば、様々に極めたりける者の心ばせかな、世の人にはあらざりけり、いかでかこの人に会はでは止みなむ、と思ひ惑ひけるほどに、平中病み付きにけり。さて悩みけるほどに死にけり。

現代語訳

今は昔、皇居を警備する役所に平定文(たいらのさだふみ)という男がいた。みんなから「平中(へいちゅう)」という渾名(あだな)で呼ばれていた。身分も高く、外見も容姿端麗であり、かっこ良くてモテると評判の色男だった。人当たりも良くて、会話の内容も面白かったので、当時は、この平中よりもかっこいい色男はいなかった。こんな色男だから、既婚の妻でも未婚の娘でも、宮中に勤める女性の中では、平中に言い寄っていかない女はいない。
その頃、本院の大臣(藤原時平)という権力者の屋敷に、侍従の君という若い女房が仕えていた。侍従の君は、容姿が美しくて、性格も魅力的な宮仕えの女房であった。
平中は本院の大臣の屋敷に出入りしていたこともあり、侍従を褒め称える評判を聞いて、長い間、恋心を寄せていた。しかし、侍従の君は、手紙の返事さえ寄越さない。平中はがっかり落ち込んでしまい、「せめて、手紙を『見た』という二文字だけでいいですから、返事を下さい」と、繰り返し泣くような調子で懇願する手紙を書いて送った。
使いの者が侍従の君の返事を持って帰ると、平中は慌てながら物にぶつかって飛び出して、その返事を受け取った。見ると、自分が『「見た」という返事だけでいいですから返事を下さい」と書いたその手紙の「見た」という二文字だけを破りとって、薄様の便箋に貼り付けて送ってきたのだった。

(中略部分)

貴族で一番モテる平中の誘いにも、侍従の君は全く乗ってこない。平中は次の作戦として、五月雨の降り続く雨の夜に、侍従の君の部屋を訪れようと考えた。激しい雨の夜に訪ねていけば、自分に同情してくれるのではないか、自分の熱意溢れるアプローチを受け容れてくれるのではないかということである。雨の夜に訪れると、二時間も待たされてから、部屋の鍵が開いて中に入ることを許された。
侍従の君の部屋からはえもいわれぬ良い薫りが漂ってくる、平中が相手の髪に暗闇の中で触れるのだが、その髪は氷のように冷たい感触だった。暗い部屋の中で侍従の君の表情も確認できないままだったが、女性が「中仕切りのふすまの鍵を掛け忘れた」といって下着姿で部屋を出ていった。随分長く待ったが侍従の君は帰ってこない、もしやと思って鍵を調べにいくと、向こうの部屋の側から鍵が掛けられていて、平中はあっけなく振られてしまったのである。
恋の病を克服できずに悶え苦しむ平中は突飛な考えに行き着く、どんなに美人の女性でも排泄物は誰もと同じで汚く臭いもののはずだということで、便器の中を覗いて侍従の君に対して決定的な幻滅・嫌悪を味わいたいと思ったのだった。そして、便器を洗う係の女中から、侍従の君が使っている漆塗りの容器を奪い取ったのだった。

(後半部分)

平中がその便器を見ると、金の漆が塗ってある。素晴らしい装飾が施されており、開けるのに気が引けてしまう感じがする。中身はどうか分からないが、便器の金漆と装飾の美しさは、普通の人間が所有しているものではない。中を開けてみて幻滅するのも、残念な心持ちがして、暫くそのまま見ていた。しかし、このままではいけないと思い、恐る恐る蓋を開けてみると、丁子(香料のクローブ)の薫りが漂ってきた。納得することができずに不思議に感じて、便器の中を覗いてみると、薄い黄色の水が半分ほど入っている。
中には、親指ほどの大きさの黄黒い色をした二、三寸ほどのもの(排泄物)が、三切れほど丸い塊になって入っている。「多分、あれに違いないのだが」と思ったが、何ともいえない良い芳香が漂ってくる。そこにあった木の切れ端で突き刺して取り出し、鼻に当てて嗅いでみた。しかし、悪臭を感じることはなく、そこからは何とも言いがたい名香の黒方(複数の香料を練り合わせた高級なお香)の香りが漂ってくる。
全く予想もできなかった展開に、「やはり普通の女性ではなかったのか」と納得したのだが、これを見ていると、「何とかしてこの女性と親しくなっていちゃいちゃしたい」と狂おしいほどの恋心・色欲が溢れてきた。
便器を引き寄せて、中にある水を少しすすってみると、丁子の香りが口内に広がった。木の切れ端に突き刺したものの先を、少し舐めてみるとほろ苦くて甘い味がする。その上、その香りの良さは相当に素晴らしいものである。
平中は頭の切れは悪くないので、すぐに真相に気づいた。「あの尿に見せかけていた水は、丁子を煮た汁物だったのか。もうひとつのもの(汚物と思い込んだもの)は、トコロイモ(ヤマイモ)に香を練りつけていて、それを甘味料のアマズラと調合していたのだ。そして、太い筆の軸につめてから押し出したのだろう」と。
この機転の良さを考えると、「このようなことは他の人間でもできるが、相手が便器を奪い取って中を覗こうとするとは、普通は予測不可能である。こちらのすべてを見通した上での行動だったのだ。その機転の良さと心情の深さは、並大抵の女性のものではない。こうなったら、どうしてもあの女を手に入れたい」と、激しく恋焦がれているうちに、平中は思い恋煩いの病気になってしまった。片思いで悩みに悩んだ挙句、平中は死んでしまった…。